睡眠障害の対処法としてのヨガとピラティス

2021.01.26 ストレスケア

寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、日中眠たくてしかたがない。これらの睡眠障害は、ストレスや不安などのメンタル面が原因で発症することが多いと言われています。

中でも不眠症は国民病の一つ。健康な日常を送るために、不眠症にならないための対策は極めて重要です。

 

日本人の5人に1人が睡眠に悩み

日本人の5人に1人、60歳以上では3人に1人が、睡眠に悩みを抱えています。就寝時に「なかなか眠れない」と感じることがありますが、通常は数日、または数週間で元どおり眠れるようになります。一方、長期にわたって夜間の不眠が続き、日中にメンタルや身体の不調を自覚して、生活の質が低下する場合も。これを不眠症と言います。

不眠症は主に4つのタイプに分類できます。寝つきが悪い「入眠障害」、眠りが浅くて何度も目が覚める「中途覚醒」、早朝に目覚める「早朝覚醒」、眠っても十分に眠れたと感じない「熟眠障害」です。

不眠症の原因はさまざま。騒音や室温が適切でないといった生活環境が原因となるケースもあれば、薬、コーヒーやタバコ、交替制勤務による生活リズムの乱れが原因となるケースも。近年多いのが、ストレスやうつ病などの心の病気による不眠。特に神経質な人や真面目な人はストレスを溜めやすく、心身ともに不調になり、うつ病や不眠症の症状が出やすい傾向があります。

また、一般社団法人日本臨床内科医会の公表資料によると、生活習慣病の患者は不眠症になりやすいそうです。高血圧症の人では、体の機能を活発にする交感神経が興奮しているために睡眠が妨げられます。糖尿病の人では、高血糖に伴う多飲や頻尿、合併症の神経障害によるしびれ・痛みが睡眠を妨げます。肥満やメタボの人も、交感神経の興奮による不眠症のリスクが高まると説明しています。

 

ヨガ・ピラティスによる不眠症改善の研究データ

不眠症の対処法には、就寝・起床時間を一定にしたり、日光を浴びたりすることで、体内時計を調整する方法があります。体に過度な負担がかからない有酸素運動を継続することも有効です。

さらに、寝る前に副交感神経を活発にさせることも大切。そのためには、ぬるめの風呂にゆっくり入ったり、音楽を聴いたりするなど、リラックスできる時間を設けるようにしましょう。そうすることによって、副交感神経が優位になり、睡眠の質が向上します。

ヨガやピラティスを取り入れることもおすすめ。これまでの研究で、ヨガやピラティスには、睡眠の質を高める作用があることが報告されているからです。

 

睡眠障害のある女性に対するヨガの有効性について、メタ分析によって評価した研究があります。2019年6月にPubMed、Embase、コクランライブラリーなどの主要なデータベースを用いて研究論文を検索し、そのうち19件を採用。メタ分析で19件の研究(参加者は合計1,823人)の結合データを分析した結果、ヨガを行った場合は行わなかった場合と比べて、睡眠がより改善されたと報告しています。

次に、ブラジルで行われたランダム化比較試験を紹介します。健康な年配の女性61人を2つのグループに分けて、マットベースのピラティスエクササイズを週に2回、16週間にわたって行うグループと、行わないグループの睡眠の質について検証。睡眠の質の指標については、ピラティスエクササイズを行ったグループは行わなかったグループと比べて、明らかな改善が示されたと報告しています。

ヨガを行うと、抗ストレス・抗不安作用のある脳内のGABAという物質が増加するとともに、交感神経の働きやストレスホルモンを抑制。これによって、ストレスや不安が解消されると考えられています。
ピラティスについても、交感神経と副交感神経の作用バランスを整え、自立神経が安定するという効果があります。深層筋に意識を集中してエクササイズを行うことから、精神の安定や集中力の向上につながり、ストレスや不安を解消し、リラックスした気持ちが得られます。

睡眠の悩みを感じ始めたら黄色信号。不眠症になる前に、ヨガやピラティスを取り入れて、睡眠の質の向上を目指してみましょう。

参考文献:
ヨガ研究論文
ピラティス研究論文

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