発熱した時にどう行動するか?

2021.01.25 その他
ヨガインストラクター 山田次郎

ウェルビーイングクリニック駒沢公園 院長布施淳

あなたは体が熱いと思って体温測定してみると37.5度でした。
どのような行動をとれば良いのでしょうか。

会社や学校を休むことは当然みなさま理解されていることでしょう。
その上で、どうするか。

いざ、自分ごとになると判断に迷うものです。
厚生労働省など公的機関の指針をもとに、判断の助けとなるフローチャートを作ってみました。

※3/11現在の情報に基づいており、状況変化により変更することがあります。
※一部私見も入っていますため、ご了承ください。

「帰国者・接触者相談センター」へ問い合わせるべき人

まず「新型コロナウイルス感染者と濃厚接触した可能性がある人」あるいは、 「強いだるさや息苦しさがある人」「帰国者・接触者相談センター」に問い合わせます。

厚生労働省や在住地域の区役所や市役所のホームページに記載されています。

上記に当てはまらない人
いずれも当てはまらない人の方が多いと思いますが、そのような方は4日間ほどご自宅で療養しつつ様子を見ましょう。
ご高齢の方や、持病(心臓病、糖尿病、呼吸器疾患、透析、抗がん剤や免疫抑制剤を投与されているなど)のある方、あるいは妊婦の方は2日ほどご自宅で経過を見ましょう。
毎日体温測定し、測定時間と体温を記録し、よく水分をとり、食べて、よく寝ましょう。多くの感冒やインフルエンザ感染は、4日もすれば解熱しますし、多くは峠を越え改善傾向を示します。現状では新型コロナウイルスに感染するより感冒やインフルエンザに罹患する確率の方がはるかに高いです。
発熱したからと言って、いきなり診療所や病院などに受診することはお勧めしません。病院には本当の新型コロナウイルス感染症の患者さんがいるかもしれません。感染症危険地帯ですのでむやみに近づかない方が良いです。

どうしても不安な人
4日(2日)の経過中に症状の悪化はないものの新型コロナウイルス感染がどうしても心配という方は新型コロナウイルス電話相談窓口(「帰国者・接触者相談センター」とは異なる)に問い合わせてみてください。

風邪やインフルエンザがどうしても心配という方は、かかりつけ医に問い合わせてみてください。かかりつけ医にもいきなり受診することは望ましくありません。必ず電話で問い合わせて指示に従ってください。

自宅療養で解熱したら
自宅療養で改善傾向を示した場合は、解熱後2日間経ち、咳などの症状が消失すれば、出勤や外出はよろしいかと思います。念の為、1週間ほどはマスクを使用して、体温測定も継続しておくことをお勧めします。再度発熱した場合は、「帰国者・接触者相談センター」か、かかりつけ医に相談してみましょう。

解熱しない人、悪化傾向な人
4日(2日)経っても解熱しない、症状が改善しないという方は「帰国者・接触者相談センター」に問い合わせます。
また、4日(2日)経たなくとも、強いだるさや息苦しさが出現するなど悪化傾向を呈するようでしたらその時点で「帰国者・接触者相談センター」に問い合わせます。
4日(2日)経っても解熱しなかったり、症状が改善せずに「帰国者・接触者相談センター」に連絡したりした場合、その指示に従うわけですが、恐らく多くの場合はかかりつけ医の受診を勧められると思います。かかりつけ医がない場合はお近くの診療所です。ちなみに、中国のデータでは新型コロナウイルス感染者の発症から病院受診までの期間は約5日でした。

診療所受診
それでは、あなたは症状の改善がないためかかりつけ医やお近くの診療所に受診したとします。必ず事前に連絡の上、マスク着用し受診しましょう。
新型コロナウイルス感染の比較的多い症状は発熱、咳などの呼吸器症状、倦怠感などで、普通の感冒やインフルエンザとの区別はつきません。新型コロナウイルス感染の確定診断にはPCR検査(鼻腔や咽頭の粘液をぬぐい、検査センターに送付します。通常の医療機関には検査設備はありません)が必要になります。
現時点(3/11)では日本の多くの地域で、検査前確率が高く(臨床的に新型コロナウイルス感染の可能性が高そう)重症度が重い方に限定されておりますので、多くの方はPCR検査の対象外になります。この日本の方針は医学的には妥当です。検査をできるだけ多く行った方が良いとする意見を訴える方がいますが、医学的には明らかに誤っています。何れにしても、通常のかかりつけ医や診療所ではPCR検査は出来ません。

PCR検査はあまり意味がない?
重症でなくともPCR検査を行って欲しいというお気持ちはわかりますが、あまりメリットはありません。PCR検査の精度は30-70%ほどと言われており、決して精度の高い検査ではないのです。 例えば、PCR検査が陰性でも決して新型コロナウイルス 感染は否定できないのです。
重症でない方が、仮にPCR検査を行った場合、その結果がどうであれ基本的には対応は変わりません。

検査陽性→新型コロナウイルス感染症の診断→対症療法をしつつ自然治癒を目指す。(医学的には自宅療養可能、外出禁止)

検査陰性→新型コロナウイルス感染は否定できない→対症療法をしつつ自然治癒を目指す(自宅療養、外出禁止)

ちなみに、 検査なしの場合も、対応は変わりません。
検査なし→新型コロナウイルス 感染は否定できない→対症療法をしつつ自然治癒を目指す(自宅療養、外出禁止)

検査をしても、しなくても、結果が陽性でも陰性でも、本質的には対応は大きく変わらないのです。 現時点では、新型コロナウイルスの治療薬や、重症化を抑える薬がないからです。

重症化しやすい人
中国のデータでは新型コロナウイルス感染症は、80%以上は軽症で通常の感冒と大差のない病状でした。しかし14%ほどの人が重症の肺炎となり、5%が多臓器不全やショック状態となり、うち2.8%が亡くなりました。

80%以上の人が感冒と同じように軽症のまま自然に改善しますので、当然この人たちは自宅療養で全く構いません。 残りの20%弱の重症化した方への対応を強化することが重要となります。
まずは、新型コロナウイルス感染症の可能性のある人に重症化の兆候がないか、早期に発見することが第一歩であり、慎重に経過をみることが大変重要になるわけです。
重症化のパターンは発症から7日くらいの経過で症状が増悪することが多いようです。
そして特に重症化しやすい人は、先記のように高齢者、持病のある方です。
それぞれの致死率は概ね以下のごとくです。

・高齢者 14.8%(80歳以上)
・心血管疾患 10.5%
・糖尿病 7.3%
・呼吸器疾患 6.3%
・持病なし 0.9%

高齢者と、そして持病の中でも特に心臓病(心血管疾患)のある方が重症化リスクが高いことがわかります。これらの方々を特に慎重に観察しなくてはいけません。逆に若い方や持病のない方は重症化するリスクは低いです。

PCR検査より、重症化の兆しに気づくことが重要
新型コロナウイルス感染症の病態の主は肺炎ですから胸部レントゲンは大切ですが、胸部レントゲンで映らない肺炎も少なくありません。中国の報告では、胸部レントゲン写真では60%弱しか肺炎像を同定できませんでした。採血は他の原因の同定に役立つこともありますし、もちろん重要ですが、重症度評価としては決定的な項目があるわけではなく、また多くの診療所では即日結果がわかるわけではありません。

結局、診療所レベルでの重症度評価は患者さんの自覚症状や バイタルサイン(意識状態、血圧、心拍数、呼吸数、酸素飽和度など)、診察所見、特に聴診、呼吸努力など、そしてそれらの経時的変化が大切と思います。
そして、肺炎や発熱の原因はもちろん新型コロナウイルス 感染症だけではありません。その他の病原菌による肺炎や感染症もいくらでもあります。原因に寄らず、重症化に気づくことはとても重要です。

検査に過度に頼らずに、丁寧な診察による評価こそがかかりつけ医の重要な任務であり、腕の見せ所なのだと思っています。 そのような信頼できる、かかりつけ医を作る良い機会とも言えます。

患者さん自身やそのご家族としては、熱がさらに上がった、なんだかぼぉーっとしている、咳や痰が増えた、息苦しさが増えた、呼吸の回数が増えた、元気がなくなった、などの変化の有無に気を留めていると良いと思います。変化あれば、それは重症化の兆しかもしれません。すぐにかかりつけ医に連絡して相談してみましょう。

まとめ
発熱したら、上記のフローチャートのごとく行動しましょう。
発熱しても確率的にほとんどの人が、新型コロナウイルス感染症ではありません。1週間以内でほぼ改善します。仮に新型コロナウイルス感染症だった(かなり確率は低い)としても80%以上がただの感冒程度の症状で自然改善します。
過度に不安を抱かず、正しく恐れましょう。
仮に新型コロナウイルス感染症だった場合(かなり確率は低い)に、20%ほどの人が重症化する可能性があります。
PCR検査よりも、この重症化の兆しに気づくことが重要です。

そして、全ての人が常に意識しているべきことは以下になります。
・安易に人混みに行かない
・手洗い、手指消毒
・咳エチケット
・適切な生活習慣


▼ 帰国者・接触者相談センター(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html

▼ 新型コロナウイルス電話相談窓口(首相官邸)
https://www.kantei.go.jp/jp/pages/corona_news.html

ウェルビーイングクリニック駒沢公園 院長 布施淳

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